■松山 功さん (松山設計一級建築士事務所)
「建築設計にたずさわる者の一人として、ちょっと反省すべきことがあるのです。それは、まず私たちがマンションにお住まいの方に理解できる『言葉』を話していたのか、というのが1つです。相手に理解で きるかどうかを考えず、私たちはつい無意識に専門用語を使いがちですが、建築の素人である住民には、専門用語を使われても理解できるわけがありません。それで、私は『誰でも分かるやさしい言葉で説明する 』ということをとにかく心がけています。
それともう1つは、そこに住む人の立場になって、本当に住み良いマンションとは何か、集合住宅のコミュニティーとは、どうあるべきか、を常に考えています。建物を建ててそれで終わりではなく、その建物の 使い勝手、地域のコミュニティーの中でどう使われるか、ということがすごく大事なんです。
以前、集会場に大型テレビを置いたら大変好評でした。テレビ1つがあるだけで、マンションの住民が気楽に集まれる場になるのです。また、掲示板を利用して、夏祭りなどのイベントを盛り上げていく。そんなソフト面からの発想がこれからは大切だと思います」
身長187cmのスポーツマン。お堅い建築士のイメージとはほど遠い、人なつっこい笑顔で顧客をすぐに自分のトークの世界へ引き込む。
彼の戦法は独特だ。顧客のニーズにおもねらない。むしろ、「本当にそれでいいのですか」と言って顧客に反論する。そうすることで、逆に顧客の視野を広げる。100%満足のいく住まいなんて夢だとしても、顧客の立場で少しでも夢に近づこうとする。
そこには、家族のあり方までが視野に入っている。やたら流行に流されて介護設備を個人宅に導入することを嫌う。設備を導入することは、介護負担まで背負うことになる。それが家族として本当に幸せなのか。住まいづくりは家族の幸せづくりだと主張する彼。そこに住む人の暮らしぶりにまで思いをはせる。彼は、きっと素敵な家族の笑顔に囲まれて暮らしているのだろう。

